読み手の負担、読み手は誰か

 プレゼンテーションや、レポートをチェックするときに、私が指導するときによく使う言葉として「読み手の負担」と言う言葉を使います。読み手の負担とは、読んでいる人が、負担になる、つまり、わかりにくいとか、理解しにくいとか、ストレスがかかる、 といったことを指します。

 こうした負担のあり方は、読み手が誰なのかによっても違ってきます。例えば、社内で、よく事情を知っているメンバーに対して文章を書く場合は、ある程度その議題の背景や事情を省略することができます。もし、すでに読み手が知っていることを長々と書くと、「くどい」とか、「そんなこと分かり切ってる」と思われて読み手のストレスになります。

 逆に、問題の背景や、事情を知らない人に対して、それらを省略してしまうと、彼らは、話の内容についていけず、イライラすることでしょう。「いったい、何を言ってるんだろう」とか、「何を説明したいのかわからない」ということになってしまい、やはり、読み手にとってストレスになります。

 さらに大事なことは、読み手のグループの中に、意思決定者もいるのであれば、その人が、聞きたいこと、興味があることについて書く必要があるということです。「読み手は、自分の読みたいことしか読まない、聞き手は自分の聞きたいことしか聞かない」という現実を踏まえなければなりません。自分の興味のない事は、たとえ、その時は聞いていても、そもそも興味がないのですぐに忘れてしまいます。逆に、自分が興味があること、聞きたいことや読みたいことが書かれていれば、読み手の心に残ります。

 簡単な月次業務報告書や、週間報告書であっても、それを読む人は誰か、ということをつねに考えましょう。もちろん、読む方々がたくさんいらっしゃるかもしれませんが、その中でも、意思決定者や評価する人は誰か、といったことを特に意識して、その人に向けて書いてください。それでいいのです。 例えば、マネージャーや役員全員に向けてレポートを書く場合は、社長に対して書くつもりでレポートを書いてください。社長がわかってくれればそれでいいのです。「長い物には巻かれよ」という意味ではありません。そのぐらい割り切って文章を書いた方が、結果的に、他の人たち対しても訴求力のある、読み手に負担のかからない良いレポートができるです。

 

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