「プラン&レビュー」という言葉は、私がアメリカに勤務していた時代に、部下たちにウィークリーレポートを書くことを推薦するために使用しました。ウィークリーレポートは、「先週やったこと」、「先週やりたかったけどできなかったこと」、「今週やること」、「来週以降やること」を、月曜日の朝にまとめることで、自分の過去を振り返り、未来のことを考える機会を持とう、というものでした。そして彼らには、「過去を振り返って、そして、未来のことを考えることで、自分のプライベートのことも、家族のことも、一緒に考える良い機会になりますよ」というように説明しました。こうした説明の仕方が、私の部下にうまく受け入れられたので、その後も「プラン&レビュー」という言葉を使うようになりました。
そもそも、私が新卒で初めて就職した会社では、毎週月曜日に、その週のスケジュールと先週やった実績について報告しなければなりませんでした。それが自然と自分の習慣になって、その後の勤務先でも毎週の計画を立てるようになりました。一週間の計画と実績を振り返りながら、一ヵ月間のレビューも自分で行っていました。最初の職場では、必ず毎週月曜日に係長に提出しなければなりませんでしたが、その後の職場では、自分自身の習慣となっていたので、特に上司からの要求がなくても、ごく当たり前のことのように、報告書を書いて提出していました。
しかし、最初の海外勤務地(1994年〜1998年)であった中国で、スタッフたちに週間報告書を提出させようと思い、その時に初めて「なぜやるのか」、「どうやってやるのか」、について考えました。当たり前に自然にやっていたことを、全くそれを知らない人に説明することは難しいものです。私は、とりあえず、「先週やったこと」、「やりたかったけどできなかったこと」、「今週やること」、「来週以降やること」、の4つのパートに分けたフォーマットを作りました。当時の中国は、改革開放政策が始まり、外資系企業の進出が始まったばかりの時期でしたので、「近代企業のやり方」をよく知らない彼らは新しい知識に対して貪欲でしたので素直に従ってくれました。
アメリカに転勤(1998年〜2001年)したときは、きちんと理屈を通さないとアメリカ人には実践してもらえません。ですから、先ほど説明したように、「過去を振り返ること、そして未来を計画すること、その機会を毎週月曜日持つこと」といったことで自分自身の成長を確認し、かつ自分のプライベートや家族についても考えてみよう、といったふうに説明にしたのです。「個人主義」の性格が強いアメリカでは、こういった考え方がとても受け入れられました。
こうして、「プラン&レビュー」の理由付けがうまくできたわけです。実際に自分を振り返れば、会社の立ち上げや組織の新たな再編成ということを数多く経験してきました。そこでは常に「やり残しはなかったか」、「本当はやるべきだったのにできなかったのはなぜか」、「もっと早くするためにはどうしたらよいのだろう」、「だから来週はこうやってやるぞ」といったことを、いつも「プラン&レビュー」を通して自然にやってきました。そうすることで、会社の立ち上げという厳しい環境だったせいもあって、自分の身の回りにふりかかるすべての問題は自分の問題であり、自分がやらなければ何も解決しない、まずは自ら行動しなければならない、と思うようになりました。
できたことを自分自身で認め、評価し、やりたかったけどできなかったことについては、「なぜできなかったのか」ということを考え、修正して、次の行動に移ります。こうすることで、自分の課題については、すべて解決することができたと思っています。そして、仕事に対する自信も高まり、チャレンジする精神も養われました。「振り返り」と「修正」、そして「行動」、また「振り返り」、この繰り返しだと私は思っています。