会議の前には入念な段取りと根回しを

一般的に日本の会議とは、ある程度参加者が知っていることについて、会議の前に根回しをして合意を取り付け、その上で会議を行い、そこで正式に全会一致で承認する、というプロセスで行われます。

このことは、世界的に有名な異文化研究の学者が同様に言っています。つまり日本の会議は一種のセレモニーであって、 座る席も決まっており、粛々と議題に沿って進められます。そして、欧米であるような議論はなく、全員が賛成して決まります。儀式ですので始まりの時間には厳しく、そのかわり終りの時間はルーズです。

こうした会議において、プレゼンテーションを成功させるには、事前の根回しが絶対的に必要です。もちろん、ターゲットとなる人に根回しができれば良いのですが、通常なかなか社長に直接根回しするといった事は難しいかと思います。

したがって、社長の周りの人や、自分の上司も含めて、自分の話をできる人達に事前に プレゼンテーションの趣旨についてよく話をして サポートをしてもらえるようにお願いをしておくことが重要です。そして、当日に行うプレゼンテーションの資料は、参加者に対して前日までには全員にメールで配信をして送っておくのです。

配信するメールのヘッドには、プレゼンテーションの目的、つまり「何をどうして欲しいのか」、「何をどういう風にしたいのか」ということを必ず入れましょう。忙しい役員の方々は添付資料に目をとおす時間もあまりないと思います。せめて、メールの文面に簡単で良いので、サマリーを入れておくとよいです。

一方、決定される内容が非常に微妙で繊細な場合もあるでしょう。その場合は、あえてプレゼンテーションのスライドには、決定したいことは入れず、問題点や事実だけを羅列して説明しておくという方法もあります。つまり、結論を急がず、まずは問題点の共有を行い、意見を引き出すと言う作戦です。無論この場合にも意見を引き出すのですから、何人かには根回しをしておきます。

例えば、「A事業部の新規事業が進んでいるけれども、すでにコストが予算オーバーしている、このままでは予算の2倍くらいになってしまう」という事実があるとします。「新規プロジェクトの予算を増やすか」あるいは「新規プロジェクトを一部を中断してこれ以上支出を増やさないようにするのか」そのどちらかだと思います。

この場合、「予算を増やす方向」で根回しが進んでいるとなれば、「予算を増やす」ということをプレゼンテーションのスライドに直接書くと、利害関係者や対立する事業部等から反対される恐れがあり会議が混沌とします。この場合、「予算がオーバーしそうである」という具体的な事実を、その理由と数値を入れたものを説明するだけにとどめて、根回しした関係者にコメントしてもらうように進めるのです。

事実が客観的で明らかであり、進むべき方向が会社の利益のためや売上増加のためといった、誰もが正しいと思うような方向であれば、結論は出さずとも、自然にそうした方向に導かれるのです。あくまでも決定は会議で行われます。あなたが決定するのではありません。ただ、事実を上手に見せることによって、また、キーパーソンに対して根回しを行うことで、どのように決定させるのか「操作」することができるのです。

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