私が知っている限り、仕事で英語を使うために英語の習得に取り組んでいる人たちは、本当に几帳面でコツコツやる頑張り屋さんばかりでした。専門用語の単語帳を使ったり、プレゼンの前には、何度も練習をして英語で上手に言えるようにリハーサルしていました。
しかし、彼らは真面目であるからというわけではないかも知れませんが、外国から来客があった時には、ひどく緊張して、その場を大爆笑させるようなジョークを言ったり、大いに盛り上がる話題を提供することはあまり得意でない方が多かったようでした。
私は新卒でメーカーの経理部門に配属され、海外子会社との連結レポートのチェックから、その後、中国、アメリカ、ブラジルといった国々で仕事をしてきました。日本に帰国してからも、外資系企業の立ち上げでイタリア人と日々のコミュニケーションを英語でおこなう毎日で、気がつけば、外国人との英語コミュニケーションで30年以上も経験をしたことになります。
私も20代の時は、外国人との食事の時は、沈黙ばかりで、ひたすら一生懸命に話を聴いていました。話題についていくことに精一杯だったことを覚えています。食事会の時も、ひたすら食べて、ニコニコ微笑むだけで、自ら言葉を発することは無いので1人だけ食事が早く終わってしまうのです。ご経験ある方も多いのでは無いでしょうか。
もともと私は、人前で、話をしたり、他の人を笑せたり、といったことは社会人になったばかりの頃はほとんどありませんでした。しかし、海外赴任をした30代になり、また、その後、外資系企業で勤務して、外国人と多く接するにつれて、自分から話題を提供できるようになっていきました。また、彼らのセンスの良いジョークが自分にも影響して、負けないように何とか笑わせようとか、ここを盛り上げようと言う気持ちになったものです。
また、海外勤務時代は、毎日がストレスで、日本本社からさまざまな要求があります。ローカルはローカルで、言葉の壁もありますが、ビジネス文化の違いもありました。
例えば、自分が期待した内容と全く違う内容でレポートが作成され、時間がないので、仕方なく自分でやり直すこともありました。また、給料を上げてほしいと、いつも楽しく話をしている部下から私に延々と直談判されて何時間も費やしたこともありました。
そういった環境で、現地のディレクターやマネージャー達と食事会に参加すると、すでに私は疲れ切っていることもありますし、さらに、会話についていけないので、我慢して、ただ黙っているだけです。そして、聞いているだけですからさらにストレスになるのです。
特に、アメリカ人は、 英語があまり得意でない日本人がいるにもかかわらず、食事会ということでリラックスしているせいか、スラングを入れて早口でしゃべったり、ボストン訛りで得意そうに話します。
私たち日本人は、目の前の食事を楽しむ暇もなく、彼らの会話を理解することだけで精一杯です。当然、自ら話題を提供したり話をすると言うことはほとんどできません。