立ち上げたばかりの新しい会社組織では、中途社員や他部署から配属された新しい社員で成り立つことがほとんどです。彼らが過去に所属していた組織の文化も異なっています。ですから、仕事に対する姿勢や仕事の進め方がバラバラになりがちで、上司や同僚が期待した仕事の進め方とは異なるやり方で仕事を進めてしまうこともあります。
それらは、すでに習慣となっている考え方や行動が、新しい組織だからといってすぐに変わるものではないからです。それぞれが違う仕事の進め方をしてしまうと、上司はもちろん、関係する社員にもストレスがかかります。
たとえば、会議でいきなり部門メンバーも知らないような新規プロジェクトの提案についてプレゼンテーションして、上司である私もフォローできないことがありました。また、本来、営業部門が決定しなければいけない人事異動案件を正式な手続きを踏まずに人事部門で決めようとしたりしたこともありました。
これらは、いずれも組織の仕組みや役割をよく理解しないまま進めたためです。また、何か新しいことを進めるときに、上司の同意を得ずに進めてしまったこともありました。
しかし、心に留めておかなければいけないことは、これらの新人たちは、新らしい職場で何とか役に立ちたいと思っているということです。
私も組織の立ち上げでは、業務レポートの書き方やプレゼンテーションの仕方などの技術的な説明よりも、こうした「仕事の進め方」での指導が数多くありました。
特に、過去に小さな組織で働いていた社員は、つねにメンバーと顔を合わせて情報を共有しているので、いちいち報告書や会議での報告といった形で情報を共有しません。その必要がなかったからです。
ある程度の規模の組織で働いていたものにとっては、ごく当たり前のことですが、そうした経験がない社員については丁寧に教えてあげるしかないのです。