外国人だから、目が青い白人の人なので英語をしゃべれるはず、ということもありません。お気づきの通り、フランス人やロシア人などのノンネイティブの方々は誰もが英語を話せるとは限りません。
私の経験では、オランダや北ヨーロッパの国々の方々は比較的英語にはなじみがあるようです。オランダのアムステルダムではホテルに泊まっても、テレビ放送は英語でも行われているものチャンネルがいくつもあり、テレビを子供の時から見ている人たちは、自然に英語に親しめることでしょう。
ところが、南ヨーロッパのラテン系の国々やフランス、さらに南米では、同様に英語でのテレビ放送もありますが、どちらかと言えば、母国語のチャンネルが多かったようです。実際に私のイタリアの友人は、イタリアでは、アメリカの映画やドラマでもイタリア語で吹き替えされているので、英語に馴染む機会が少ないから、英語が上手になりにくいと話してくれたことがありました。
私の実体験では、アメリカ人だからといって英語がきちんとしゃべれる、きちんと書けるとは限らないようです。日本人の中には、盲目的にアメリカ人だから英語が上手にできるはずと信じてらっしゃる方々もいらっしゃるかもしれませんが実際はそうではありません。
それは、私たち日本人同様に、日本人でも全ての人がテレビのアナウンサーのように滑舌よく日本語が話せるかというとそうではありません。また、文章を書くのが苦手な方々もいらっしゃると思います。書いた報告書を上司に注意されて書き直したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう考えれば、アメリカ人でも英語を母国語としながらも、アナウンサーのように綺麗な発音で英語を喋り、また、綺麗な文章でメールや報告書を書ける人ばかりではないということなのです。
アメリカに勤務していた時に、部下から長いメールの文章が送られてきました。あまりプロフェッショナルとは言えず、文章がとてもだらだらと長く書いてあります。
その文章を集中して読んでも内容がよくわりません。まず文法的にどう繋がっているのかがわからないのと、知らない単語がいくつかあるのです。そして、その単語は辞書にも載っていません。
そこで、本人にどういう趣旨なのか話に行くと、私がわからなかった単語は、最近流行のスラングらしく辞書にも載っていないのです。また、文法の誤りを指摘すると、その通りです、と素直に認めます。つまり、ビジネス文章として文章を書くことを勉強したこともなければトレーニングを受けたこともないのです。
ですから、それ以降、いろいろな人たちに、社内では、正しい英語を使ってください、キングスイングリッシュ(King’s English)をきちんと使いましょう、と言うことをことあるごとに言っていたと思います。
よく考えれば変な話です。ノンネイティブである日本人が、アメリカ人に正しい英語を使うように指導していたのです。ですから、現実はアメリカ人であっても ビジネスにおいて、正しく英語を操れない人がいると言うことなのです。
これはアメリカ人だからそうであると言うことではなく、どの国の人たちでも、その人たちの母語のレベルはそれぞれ違っているということなのです。特にビジネスとなれば、会話と違い、箇条書きにしたり、見出しをつけて読み手に負担をかけずに結論から先に書く、といった書き方を習得しなければいけません。
アメリカ人と会話しても、相手がアナウンサーやプロの話し手でないのであれば、正しい発音とは限りません。また、彼らが書いた文章を読んで意味が分からなければ、誤った文法や言葉使いかもしれません。
わからなければ、繰り返して聞いて良いのです。ネイティブのアメリカ人だからといって英語が素晴らしく上手とは限らないということなのです。あなたがこれまで学習してきた正しい英語で、自信を持って堂々と使ってみてください。