報告すること、その立場になればわかる

どのタイミングで報告すればいいのだろうか、こんな小さなことはわざわざ報告する必要はない・・・、と若い頃は悩んだものです。自分が多くの部下を持つと、なおさら報告の大切さがわかるものです。

そもそも、若い社員たちは、いつもどうやって報告しようかと悩んでいます。そうさせないために、リーダーは仕組みを作ることです。つまり、オートマチックに報告ができるような方法を考えるのです。

週報や営業報告でも良いのでしょう。ただし、内容にあまり制限をつけないことです。人はその人の感覚によって感じることが違います。そうした個性を潰すようなルールはやめておくことです。上司はこういう情報を大事にしている、こういうことは報告してほしいと常々コミュニケーションしておく程度で良いのです。

また、ミーティングも定期的に行うことです。大切なことは、チャンネルを常に複数用意しておき、部下たちは、そのどこかで情報を流し込めば良いのです。さらに、上司との人間関係を構築することで、相手が欲しい情報が何であるかを察してもらうことです。


以下は、「30代、40代のやり直しビジネススキル」(アマゾン発売中)から引用です。

私が大学生の時、渋谷の設計事務所でアルバイトをしていました。その時に、課長さんから「大事な磁気テープがあるから、これを京橋の事務所に届けてくれ」と言われました。私はその磁気テープを受け取り、すぐに電車で京橋まで行って、その事務所の担当者に磁気テープの入った紙袋を渡しました。

その後、事務所に戻り、それまでやっていた仕事についていました。そうするとまもなく、広いオフィスの奥に座っている課長さんが私のところにゆっくりと歩いて来て一言、「行ってくれたんだね」と私に尋ねてきたので、「はい」と言って答えました。私の返事を聞くと、「ご苦労様」と言い、課長さんはまたゆっくりと歩いてそのまま席に戻りました。

何気ないオフィスの出来事ですが、この情景を思い出すたびに、「報告」いうことがいかに大切かということを、特に自分が部下を持つようになってつくづく思うようになりました。つまり、課長さんは私に仕事を頼みました。しかし、まだ学生だった私は、ビジネスの教育はむろん受けておらず、報告の大切さもわかっていませんでした。

仕事が終わったのに報告をせずに、そのままデスクに座り仕事を続けていました。課長さんにしてみれば、私が本当に行ったのかどうか、不安だったと思います。ですから、わざわざ、私のところに来て確認したのだと思います。

つまり、頼まれた仕事は、頼まれた相手に対して、「完了しました」ということをきちんと伝えなければ、相手はその仕事はまだ終わってないと考えるのです。つまり、報告がないのは、上司にとっては、「まだ終わってない仕事」と同じことになるのです。

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