■リモートでパワーポイント使用が加速
現代のビジネスパーソンにとって、一人1台のノートパソコン、携帯電話、タブレットを会社から貸与されていることは普通になりました。これらITテクノロジーを搭載した機器の役割の多くは社内のコミュニケーションです。
ここでいう、会社内でのコミュニケーションとは、会議、相談、通知などです。そして、上司や関係者への報告や説明の会議では、パワーポイントを使用することがほとんどです。
また、報告書としてもパワーポイントで作成されたものを共有されますし、私自身もパワーポイントで報告書を作成します。報告書をパワーポイントで作成することで、そのまま会議で説明資料として使用できるので便利だからです。ですから、今や、ワードやエクセルで作成された報告書を見ると「古い」と感じるものです。
TeamsやZoomといったリモートツールの普及とともに、ノートパソコンの画面を通して会議や説明会などを行う機会が非常に多くなりました。数年前にコロナ禍のため、会社へ出社できない時期が1〜2年ほどありました。出社できなくてもTeamsやZoomといったリモートツールを使用することで、まったく問題なくコミュニケーションが出来て、仕事やプロジェクトもきちんと進むことが証明されたのです。
「コロナ以前の時代」では、会議室に会議出席者が集まり、パワーポイントで作成したスライドをプロジェクターでスクリーンに投影しながら会議が進んだものです。しかし、今では、たとえ参加者がオフィスに出社していたとしても、わざわざ会議室を使用することなく、自席でそれぞれのノートパソコンを使って、TeamsやZoomで会議が開催されるようになったのです。
■用途が変わったパワーポイント、どう使う?
もともと、プロジェクターで会議室のスクリーンに投影して、プレゼンターがプレゼンテーションする目的で使われ始めたのがパワーポイントです。画像やイメージを参加者と共有し、プレゼンターは、聴衆を惹きつけながらプレゼンテーションを進めるのです。
そこには、プレゼンターの態度、仕草、表情、そしてスライドのビジュアル化が求められます。こうしたプレゼンテーションは現代でも多くの場面であることでしょう。商品説明会、イベントの企画、その他に聴衆に対して情緒的にプレゼンテーションする場合です。
プレゼンターは、スライドの文字を大きくして、20ポイントから30ポイントでスライドを作成し、会議室やホールの後ろの聴衆にも見えるように気を配らなければなりません。
最近では、日常での会社内での会議でもパワーポイントが使用されるようになりました。つまり、ビジュアルや情緒的なプレゼンテーションではありません。報告、説明、計画の共有、問題解決といった、どちらかといえば、報告書では補いきれない部分の説明、確認、評価という目的でパワーポイントが使用されます。つまり、TeamsやZoomを通して画面共有機能で映し出される資料をもとに会議が行われるのです。
こうした会議では、画面共有ですから、スライドの文字も大きくする必要はなく12ポイント〜14ポイントで十分なのです。もはや、会議室や会場の後ろの座席の聴衆のことは気にかけなくてもよいのです。
また、プレゼンターは、聴衆に対する目配せや、ジェスチャーの工夫も必要なくなりました。そういう意味で、パワーポイントの使い方も変化しています。言い換えれば、「報告書を画面共有で説明する」ためにパワーポイントを使うようになりました。
■パワーポイントのメリット
こうした会議環境の変化の中で、実際に会議に参加して気がついたパワーポイントの使い方があります。まず第一に、ノートパソコンの画面に映し出して共有する点です。画面共有ですから、スライドの文字をもう大きくする必要はありません。パソコンの画面で見えればそれで良いのです。
さらに、それぞれが画面で資料の確認ができますから、印刷して配布することもありません。ですから、スライド資料のページ数は気にすることはないのです。印刷して配布するのであれば、印刷コストや手間を考えて、1スライドに多くの情報を詰め込んだり、丁寧な説明を省略して簡潔にまとめなければなりません。
しかし、印刷する必要がなければ、贅沢にページ数を使っても構わないのです。たとえページ数が増えたとしても、与えられた時間内に説明が終われば問題はありません。
第二に、デジタルデータである点です。つまり、会議後にメール、Chat、SharePointを利用してすぐに資料の共有ができるのです。したがって、報告書をパワーポイントで作成することによって、会議資料と報告書をそれぞれ別々に作る必要がなくなるのです。さらに、パワーポイントは、スライドの削除や追加が容易ですので、他の会議用に流用し、さらにアレンジして会議で使用できるという利点もあります。
最後に注意事項としては、会議資料であれば、ある程度の「余白」が必要です。プレゼンテーション、会議資料や報告書にかかわらず、「余白」が少ないと読み手に緊張感を与えてしまいます。
さらに、わかりやすい、見やすいことは、会議室を使用しようが、TeamsやZoomでの会議でも同じでパワーポイントスライド作成で配慮すべき点です。
例えば、1枚のスライドに多くの情報を詰めすぎると、読み手はポイントがボケてしまいます。よく言われるように「1スライド1メッセージ」の原則は守ることです。前述したように印刷して配布する事は想定していませんので、ページ数を気にすることなく、余白を生かして見やすいスライドを作成することができます。
このようにパワーポイントの利用目的や役割が変わってきています。かつてのワードやエクセルではなく、読み手に伝わりやすいパワーポイントを使って、TeamsやZoomを通して画面共有機能で会議で使用されることが多くなっているのです。こうした環境変化に対応して、旧態依然としたやり方ではなく、環境に合う方法でプレゼンやレポートも今後変化していくことでしょう。