日本語がまったく読めない欧米の人たちは、日本語で書かれたドキュメントを見ると、つねに、私たちが彼らにわからない日本語で、何か怪しいことをやっているのではと疑われていると考えた方が良いです。欧米のビジネス社会は競争が激しいので、相手を疑いの目で見ることが普通に行われます。その点、日本は集団主義、共同体意識が強いので、相手を好意に見ることが自然です。ですから、 欧米の人たちが、仕事において、自分たちの行動を好意に解釈してくれる、とは思わないほうが安全です。
しかし、数字は、日本語がわからなくても外国人にはわかってしまいます。世界共通なのです。かつて、一緒に働いたW君は、イタリア本社へ提出する報告書を、事前に日本でのミーティングで発表したかったので、敢えて英文の報告書に日本語を併記して、英語のわからない日本の人たちにも誤解なく伝わるようにしました。例えば、「プロジェクト予算は340万円」と記し、英文を「JPY3,400,000」と併記しました。
日本の会議ではうまく説明ができたので、イタリア本社へレポートを送ったところ、投資金額が誤っているとの指摘を受けました。それは、日本語表記のところに340とあったので、それは「3,400,000の間違いではないか」というものでした。また、日付が「平成29年10月1日」と日本語で入れましたが、それは29ではなく2017の間違いではないかと言われてしまいました。結局、丁寧に日本語での金額や年号の表示方法を、伝えてわかってもらうことができました。しかし、余計なひと手間がかかってしまったことには間違いありません。
数字は万国共通です。たとえ、日本語であっても、金額表示、年号表示は西洋式で書く習慣をつけることで、小さなことかもしれませんが、こうした誤解を避けることができます。また、相手からの問い合わせも無くなるのです。